[時事]そのまんま東の誤算

大人というのはどうにも大人げない生き物で、バカにされた瞬間ではなく、バカにされたと感じた瞬間から怒り始めるようです。
東国原宮崎県知事の衆院選出馬が、事実上消えてしまったようです。


http://www.asahi.com/politics/update/0715/SEB200907140074.html



東国原知事の「自民党総裁候補」を条件とした衆院選鞍替えというのは、非常におもしろいもので、個人的に「うまいな」と思いながら報道を眺めていました。


1つには東国原知事自民党の利害が合致していた点。


衆院選での不利が報じられる自民党、というか古賀選対委員長は、宮崎で9割という東国原知事の人気が政党支持回復の起爆剤になると考えたはずです。
無党派層への波及も、現在在籍中の国会議員の中で最高でしょう。


一方、東国原知事は、さすがに政策決定権限もない1年生議員から政治的キャリアを再出発する気にはならないでしょう。
ところが今、自民党の総裁、ひいては日本の首相になれる芽が出てきました。
中央志向はこれまでにも伝えられていましたが、最高の形で帰京することができます。
というか、自民党のピンチ以外でこんなチャンスはありえないでしょう。
民主党からいくら誘われても現状で出馬がありえないのはこのためです。


「不利につけ込んだ」感に嫌気したというよりも、多分国民は使い古された言葉で「国民不在の政治」を目の当たりにした思いだったのでしょう。
結果、大きな反発を招くことになってしまいました。


しかも、古賀氏の選対委員長辞任の一因、東京都議選の敗戦まで東国原知事擁立に求める始末。
自民党さん、間違いなく敗因はそこにありませんから。
大村秀章のテレビ出演を許可していることにはあってもです。
そんなことを言っているから「自民党はダメだ」なんて言われるわけですよ。


東国原氏にも古賀氏にも、「国民不在」という意識はなかったでしょう。
もちろん互いの利益を優先すると言うことを、国民不在というのなら話は別ですが。
それでも国民は「バカにされた」と感じたわけです。
仮に8割の反対を押し切って国政転出したとしたら、東国原氏は圧倒的な得票を得たのではないかとぼくは思っています。
それが投票に向かう「大人の国民」でしょう。



幕切れは実にあっけなく、古賀氏、東国原氏、そして自民党3者に大きな傷跡を残しました。
「兵は速きを尊ぶ」という孫子は、何も軍事関係だけの金言ではないのです。
そのことを「21日解散」と1週間前に通告した麻生総理が早くも証明してくれています。


ちなみに東国原氏が宮崎から逃げ出したいのは、9割の支持率がプレッシャーになっているからだろうな、とはぼくの斜に構えた見解です。
ナチスもそうですが、圧倒的な支持率は不幸な結末以外を招くことはないでしょからね。