[映画]ザ・マジックアワー

王様のレストラン」を越えるドラマに、ぼくはまだ出合った事がありません。


あらすじを簡単に
街のボス・天塩の愛人・マリに手を出したレストラン支配人・備後。
命の代償として伝説の殺し屋デラ富樫を連れてくることを約束する。
もちろん当てなどあるわけがない備後は、一計を案じる。
誰も会ったことがないという伝説を逆手に取り、売れない役者村田をだましてデラ富樫役に仕立て上げたのだが…。




三谷幸喜があれだけPRに走り回っている理由がよく分かりました。
この映画、大したことありません。
三谷コメディーに期待する人間として大変残念です。



三谷の脚本は、一本筋の通った方向性の周囲にグルグル螺旋のように笑いがちりばめられているから面白いのです。
螺旋の部分は笑えるネタがいくつかありましたが、3分に10回のレベルでは到底ありません。
そして肝心の本筋がまっすぐ通っていないため、途中でひっかかってひっかかって仕方がありません。
だましあい、錯覚のし合いの場合、どこまで伏線がしっかりしているかが重要なんだと思うのですが、ほぼ表層的な、というか備後の思いつきに終始してしまいます。
これではまだアンジャッシュのほうがマシかもしれません。
特にラストシーンは「???」です。


笑いの基本は「ボケ」と「ツッコミ」。
佐藤浩市のクドさをうまく使った「ボケ」がいくら見事でも、ツッコム妻夫木聡が役者不足で、これまた悪い意味でハラハラしました。
佐藤と西田敏行が出会うシーンで、撮影と勘違いしている佐藤が同じセリフを3回言う、という「ボケ」が笑えるのは、明らかに西田の「ツッコミ」の力量。
こちらのコンビで回すシーンはすごく面白いのに。



カメオが多すぎるのも気になるところではあります。
2時間16分もやる「舞台」なのか、疑問です。


それでも市川崑の出演シーンは、はっとしてしまいました。
犬神家の一族」の返礼でしょうか?



金額で評価するなら  (標準 ¥1500)



¥1000



です。



「製作・亀山千広」とあって、ちょっと嫌な予感はしたんですよ。



あと、作中最高に笑ったのが、映画中映画で殺し屋役を演じる堀部圭亮が車を運転するシーン。
フランス映画あたりに絶対いそうな顔だ(笑)


公式サイト
http://www.magic-hour.jp/index.html