[映画]結婚しようよ

ぼくが知っている吉田拓郎は、「全部抱きしめて」の拓郎です。


あらすじを簡単に
香取卓は、団塊世代のしがないサラリーマン。
毎日妻と大学生の娘詩織、香織と4人で夕食を食べることを喜びとしてきた。
ある日卓は、親を阪神大震災で亡くした青年・充と偶然知り合い、夕食に招く。
死んだ両親の跡を継ぎ、そば職人を目指す充にひかれる詩織。
香織は仲間と組んだバンドでライブハウスのオーディションを受ける。
そこはかつて卓がフォークデュオを組んで出演していたステージで、現在の経営者は当時の相棒だった。



食卓をキーワードに、一つの家族とその周辺を描くやり方は、現在ないものだからこそあこがれる、ある種の寓話になっていました。
「ありえない」から「あってほしい」というやつです。
この世界観が見る人の価値観とずれてさえいなければ楽しめると思います。


ただ、どうしてもネックになるのが、強烈な自己中心主義的ストーリー。
というか、家族中心的というか。


三宅裕司演じる卓の価値観は間違っていないんだよ、というメッセージがバックボーンにあるため、ストーリーすべてがその補強材になっています。
そのため、寓話でありながらすべての人を納得させることができない展開です。
「すさんだ世の中だし、そんな話もたまにはいいよね」と受け止めたぼくでさえ、詩織の結婚式で歌を披露することになる卓の姿が恥ずかしすぎて見ていられませんでした。



三宅裕司団塊世代を象徴させ、かたやライブハウスのマスターには岩城滉一を当てる。
母親は真野響子、古風な考え方を持つ詩織に古風な顔立ち、言い換えれば派手さのかけらもない藤沢恵麻、バンドをやるバンカラ香織にPVで見るよりちょっとぽっちゃり系の中ノ森BAND・AYAKOをもってくるキャスティング。
最高です!
高価で売れ線の俳優ばかりを並べ、今の映画ブームにのっかろうという作品に対する強烈なアンチテーゼといえるでしょう。



金額で評価するなら(標準¥1500)



¥1500


です。



こんだけ評価しといて、と思われるかも知れません。
プラスマイナスがちょうどゼロになる、そんな感じの作品でした。



ちなみに40歳の先輩は「吉田拓郎のPR映画だ」とのたまいましたが、吉田拓郎の影響下にない世代のぼくには、ただのBGMにしか聞こえませんでした。



公式サイト
http://www.kekkon-movie.com/