監督、ばんざい!

この映画を見るに当たり、我々「たけちゃんマン」世代には、何の説明も必要ありません。


あらすじを簡単に
「世界の」映画監督キタノ・タケシが、お得意の暴力映画を「今後一切撮らない」と宣言。
じゃあ、何を撮るんだ、という話から「小津風味」「昭和30年代風味」「時代劇」とあらゆるジャンルに挑戦しては失敗、挫折を繰り返す。
結局行き着いたのは詐欺師の母娘と、政界の黒幕を思わせる男の書生を務める実直な男を主人公にした作品。
話は二転、三転しながら行き着いた先は…。


北野監督作品は、志向がどちらかと言えばエンターテインメントではないような気がして、敬遠していました。
でもぼくが知っていて、しかも好きな「たけし」とは結局「ビートたけし」なわけで、そう言う意味でこの映画には文句が付けられません。


至る所にちりばめられた「ビートたけし」のギャグ。
映画を断念する理由も「たけし的」ケチを付けるし、創っては自ら壊すのも「たけしの笑い」の王道。
小津風作品のタイトル「定年」が出た時点で、60歳の自分自身を嘲笑しているのが分かってゲラゲラ笑ってしまったし、何か随所で井出らっきょが暴走するし。


7つの作品中作品の中でも、30年代風の「コールタールの力道山」は白眉。
ぼくの大好きな漫画家西原理恵子テイストで、当然「体験してなきゃ描けない世界」。
多分最後まで撮影していたら、人によっては「三丁目の夕日」なんか相手にならないくらい面白いと思える作品になるでしょう。


映画が「たけし」過ぎて、彼を好きではない人にはたけし臭がきつすぎるかも知れません。
基準は江守徹の演説シーンで笑えるかどうかです。
でも、それがどうしました。
ぼくは芸人・ビートたけしが好きなんです。


金額評価は(標準¥1500)


¥2200


です。


文化人的たけしが嫌いな人にはとりあえずおすすめ。


公式ホームページ
http://www.office-kitano.co.jp/banzai/cover.html