[映画]硫黄島からの手紙

防衛省が発足してしまいました。
鳥越俊太郎も今朝のニュースで「私(たち国民)は納得していない」と吠えていましたが、こんな重大な審議を一般財源化問題や6カ国協議問題の裏で「こそっと」決めてしまうなんて、安倍政権は本当に姑息ですね。
それを支援する国会議員も姑息だし、そんな姑息な議員を選んだぼくら国民も責任が問われます。
そのうち徴兵制も「こそっと」決まるでしょうね。


さて、そんな姑息な人たちが見るべき映画が今回の「硫黄島−」。
あらすじを簡単に
日本軍約21000兵のうち、20000を超える戦死者を出すとともに、米軍にも約7000人の戦死者、22000人近い戦傷者を出した太平洋戦争末期の大激戦硫黄島の戦い。
必死の運命にある日本軍の1カ月半を、司令官栗林忠道渡辺謙)ら日本側からの視点で描く。


フィクションでありながら、非常に重厚なドキュメントになっています。
どれだけ時間が経過したかという感覚が若干分かりにくいものの、物量、兵力とも圧倒する米兵に対する日本軍の悲壮かつあわれな防衛戦が説得力を持って描かれました。
万歳玉砕を禁じる栗林中将に対し、中村獅童が演じた当時の日本軍人を象徴するかのような指揮官は、現代の我々が見ると滑稽ですらあります。
圧倒的な兵力差すら分からず、戦車が通るのを地雷を抱いたまま何日も待ち続け、結局米兵に(捕虜として)救われてしまう馬鹿者は、まさに当時の日本(を指導する)人たちの姿でしょう。
斜めに構えると、馬鹿者たちをアメリカが救う映画なのか、とも思ってしまいました。


ただ一心に生還を望む西郷(二宮和也)もまた日本兵の姿。
自分の命と命令を秤に掛け揺れ動く清水(加瀬亮)もまた日本兵です。
「お国に命を捧げろ」という教育の名を借りたマインドコントロールの下にある人間たちは、命を最も大事だと考えながら、「大儀」のため簡単に命を捨てる。
残酷な二律背反です。


ドキュメントとしては衝撃的でしたが、ドラマとしては淡々としすぎていて、なんだか泣くことも笑うこともできませんでした。
それほど抑揚なく事実的に描写することができていたのでしょう。
もちろん作品は泣くことも笑うことも要求していないので、「すべてイーストウッドの思惑通り」ということでしょうか。


金額評価は(1500円を標準として)


¥1600


です。


ドラマではなく、史実だと思ってください。
そして、そこから感動でも恐怖でも、感じ取るのは見た人自身です。
そう思うと、ちょっと怖い映画ですね。