[映画]鉄コン筋クリート

ジブリの影響でしょうか、はたまたディズニーか?
最近アニメ映画なのに名のある俳優を声優に使うことが多くなりました。
ディズニーの日本語吹き替えを芸人とかにさせるのはげんなりですが、この作品の主人公クロとシロをそれぞれ二宮和也蒼井優という旬の俳優が演じました。
見終わって、あったかいため息が出ました。


あらすじを簡単に
川に挟まれていて、猫の目の形をしている島「宝町」。
ここを根城にする二人の「ネコ」と呼ばれる少年クロとシロ。
時が止まったようなこの町に再開発話が持ち上がる。
街に戻ってきたネズミの異名を持つ鈴木、その子分・木村。
鈴木の親分と組みながら街を我がものにしようとする蛇。
暗躍するヤクザとネコの抗争が始まり、街に血が流れ始める。


フィルムの質感がたまらなくいい。
松本大洋の漫画は、「ピンポン」とか「吾」とかを見る限り、線の荒さが魅力だと思っていたのですが、この映画の登場人物は、言葉で書くと「丸い」という印象を受けました。
6頭身とか7頭身とか、いわるるテレビアニメなどで見かける一般的な人物ではないし、重心がちょっと低いところにある感じで、どこかにある異世界の住人だ、という違和感がありました。
逆に、街は戦後の日本と上海や台湾、香港のイメージを重ねて緻密に作りあげたような、きっとあるに違いないと思わせるリアル感が。
そのギャップが何とも言えない「宝町」を創造していました。


ストーリーはある意味見慣れたもの。
強い絆で結ばれたクロとシロが互いを思うがゆえに引き裂かれる。
しかし窮地に追い込まれたクロが、秘めた強大かつ残忍な力を発露させそうになり、ダークサイドに落ち込もうとするのを食い止めたのは、やはりシロだったという話は、「スターウォーズ」を思い起こしてしまいました。


それでもこの映画はすごい!!!


単純な話を肉付けする圧倒的な存在感を持つ登場人物たち。
交錯するキャラクターの想いは、「そういうことってあるよね」とうなずくだけには収まりません。
説得力があり、共鳴しまくりでした。


しかもクロとシロの声がたまらない。
特にシロは、松本大洋の世界の住人ってこんな声してるんだろうな、と合点がいくくらい。
蒼井優の姿はどこにもありませんでした。


それにしても松本大洋は言葉を作るのがうまい。
「ピンポン」の
「血は鉄の味がする」
というのも名言でしたが、今作の
「心がカサカサする」
という言葉にはやられました。


全3巻の漫画をまとめているということなので、きっといろんな複線を削っているのでしょうが、ひとつの物語を読み終えた感じで、おなかいっぱいでした。
心から「ごちそうさまでした」。


金額で評価すると(標準を1500円として)


¥2000


ですか。


原作を読んでいないからの評価かもしれません。
ですが、「映画館に足を運んでほんとによかった」と久しぶりに思うことができました。