王の男

韓国で動員記録を残した大作の初日(土曜)午後7時の回が、ぼくを含めて7人の観客だなんて、どうなんでしょうか?
大丈夫でしょうか、この映画館…


あらすじを簡単に
15世紀末から16世紀はじめにかけ、朝鮮に悪名をとどろかせた王・燕山君の御世。
旅芸人チャンセンと女形コンギルは、都・漢陽で、王が妓生ノクスに入れあげているという噂を聞きつけ、王を笑いのネタにした芝居を演じる。
しかし政府高官に捕らえられ、「笑わない」と言われる王を芝居で笑わせないと死刑だと言い渡される。
窮余の一策でその場は乗り切った2人だが、王は次第にコンギルに入れあげていくことになる。
嫉妬と宮廷謀略が2人の運命を飲み込んでいく。


まず、王なのに諡号(おくり名)がなく、燕山君と称されるところに、ぼくの歴史好きの血が騒ぎます。
いわゆる隋の煬帝と同じで、諡号に値せず、という悪君なわけです。


なのに、チョン・ジニョン演じる燕山君のなんとキュートなことでしょう。
直情的で、先王を支えてきた重臣たちへの反感が強い一方、妙に素直で、流されやすいところがある。
2人きりになったコンギルに、自作の影絵を見せるところなんて涙物です。


「王の男」というタイトルは、女形のコンギルを頂点とした王と旅芸人の三角関係を描いたものですが、艶っぽいところがまったく連想できなかったのは、イ・ジュンギのせいです。
一方、「傾国の美男子」を演じたイ・ジュンギは、元DA PUMPのシノブ似。
顔は確かに美しいのですが、体つきが男のもので、ちょっとげんなりです。


ちなみにチャンセンは永島敏行に見えました。


作品の第一印象は
「映画好きが好きな映画」
というものでした。
単なる大作ではない骨太のつくりにはなっていますが、いかんせん抑揚に乏しい。
コンギルをめぐる2人の男の心情を描こうとして、あえて抑えた感があります。


ラストで
「やっぱり、こうやって終わるのね」
と思ってしまいました。


この映画が流行る韓国は、よっぽど映画好きな国なのでしょうか?
でも「グエムル」も「トンマッコル」も日本では興行的に失敗していると聞きます。
そういう意味では、日韓の嗜好の違い、といえるかもしれません。


金額評価ですが(標準1500円として)


¥1000


です。


好き好き、何でしょうが…


1000円を下回らなかったのは、「一見の価値あり」と思うからです。
1500円を下回ったのは、個人的な嗜好です。