[時事]ヒトヂカラは教基法改正では復活しません

安倍内閣支持率急落。
65%から発足2カ月で一気に50%割れですか。
何でも始まりが一番ですから、当然の結果ですね。
安倍さんが首相になってやったことと言えば「造反組の復党」と「教基法の衆院通過」の2点でしょ。
自分の名を売った「地盤」のはずの「拉致問題」では、何ら打開策を示せていません。
それどころか、小泉前首相が「3度目の訪朝を考えている」と言い出す始末。
平沼さんの復党もさせられない、岐阜一区の選挙態勢も整備できない。
膨れあがった超巨大与党で舵をとれる器でないことを露呈しているようです。
他人事ながら、参院選大丈夫ですか? と問いたい気持ちでいっぱいです。


ま、参院選が失敗すればいい、と思っている人も多いんでしょうけどね。


さて、安倍内閣の成果の一つ、教基法改正案が国会で審議されています。


前文のうち、問題になっている部分を書き出します。
「個人の尊厳を重んじ、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。」


第2条(教育の目的)にさらに詳しく
「正義と責任、男女の平等を重んずるとともに、公共の精神に基づき、社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う。
 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う。」(一部)


ああ、もう書いちゃったね、はっきりと。
誰が「公共」とか、発展に寄与する「態度」とか、「郷土愛」とかを判断するんでしょうね。
もちろん教師ではないですよね。
「政治家」さんと「官僚」さんで国の教育を決めちゃいますよ、っていう意図がありありとうかがえます。


これについて、ぼく自身のコメントは、これまでに何度も何度も書いてきましたので省略します。
教基法改正に寄せられた新聞掲載コメントを転載します。


04年3月、都立高の卒業式で君が代斉唱時に起立せず、嘱託採用を突然取り消された元教員
「法改正で、愛国心のように『正しい愛』『正しい心』を上が決める恐ろしいことになるのではないか」


卒業式の不起立で戒告となったため提訴に加わり、「教職員への国旗国歌の強制は意見」との判決を受けた都立高教員
その後も政府は判決無視の姿勢を示しており
基本法が改悪されてはあの判決も無になり、今の東京都の異常事態が全国に広がってしまう。それが一番心配だ」


この法改正で自殺が減少する、あるいはいじめがなくなると考えた人はどれだけいるのでしょうか。
教職員の児童買春をはじめとする無様な違法行為がなくなると考えた人は?


評論家の大宅映子氏はこう語っています。
「昨今の日本の現状を見ると、すべての根っこにあるヒトの力が落ちている。
 ひ弱で判断力がなく、学力もなければ体力もない。勤労意欲もどこへやら−」
一部抜粋ではニュアンスが変わってしまうのは承知での引用です。
ヒトヂカラが低下しているのは、憲法のせいでも法律のせいでもありません。
「再チャレンジ法」ができたら変わるってものでもないのですけどね。


言葉遊びに終始するのは止めにしませんか?
国がやらなければならないのはそんなことではないはずです。
もっと愛される国を作ればわざわざ忠誠心を要求することはないはずです。


それではまず、お役所のお役人さんから忠誠心を見せてもらいましょう。
手始めに、国のお役人のボーナスを国債にしましょう。
地方自治体のお役人には郷土愛を示してもらいましょう。
ボーナスで地方債を買ってください。
国会議員はもっと大変です。


自分らでできもしないことを、他人に押しつけるのはやめましょう。
教育を受ける子どもを持つ親が不幸です。


※コメントは、共同通信社取材のものです。不都合がありましたらご連絡ください、削除します