[新聞]書き方と印象

よく言われていることですが、新聞でもっとも大切なのは見出しでしょう。
ぱっと見て目に入るからですが、そういう意味で新聞社がもっとも気を付けなければならないのもまた見出しです。


さて22日に投開票された衆院補選ですが、翌23日の大手3紙のメーンの見出しはこうでした。


朝日「自民、衆院2補選制す」


毎日「衆院2補選 自民勝利」


読売「安倍自民 初陣2勝」


どれも同じような見出しですが、自民党にすり寄っている順に並べると


読売  →  朝日  →  毎日


となります。


なぜか。


これはぼくの印象なんで、反論があればどうぞ。


まず、読売の見出しの取り方だと、「安倍首相」という存在が全面的に押し出されており、まるで新しい体制だから勝てた、あるいは新しい体制でも勝てた、と言わんばかりです。


次に朝日。
制す、という言葉は「対決に勝った」という意味です。
誰との?
当然民主党です、民主党に勝ったと言っているわけです。


最後に毎日。
この取り方だと、「衆院2補選(で)自民(が)勝利(した)」となり、事実を述べているに過ぎません。
そういう意味で、一番客観的だと思えるわけです。


もっとも、毎日は3本目の見出しで「安倍政権に弾み」とうっちゃっているので、結局は同じ事なんですけどね。


見出しとはかように大切なもので、しかも一面トップを飾るような見出しはレイアウトの人デスクだけでなく、編集局長らが一緒に考えるわけで、新聞社としての姿勢が透けて見えます。


それでは、民主党はこの選挙に負けたのでしょうか?


確かに事実この2議席をともに自民党に取られてしまいました。
だからといって負けたか、というとそうでもないのです。


というのもこの2議席、元々自民党議席なわけですよ。
自民の議席が増えたわけでもないし、民主の議席が減ったわけでもない。
民主にしてみれば勝てればラッキー、な選挙ですよね。


それを新聞が「自民勝利」とあおることで勘違いしてしまう人がいるのも事実です。
確かに「自民2議席維持」では、安倍政権発足後、初の国政選挙を飾る見出しとしてはふさわしくないかもしれません。
より2大政党の対決路線を明確にしたいでしょうから。
でも3本目か4本目くらいにそんな見出しを入れてもいいんじゃないでしょうか。
これじゃ政権よりの見出しと言われても仕方ないんじゃないですか?


新聞記者は客観的な視野を持って記事を書く、ということが、例えどんな優秀な記者だとしてもありえないことは十分承知しています。
だからどうか、周囲の人がバランスを取ってあげてほしいと思います。
何でも、強い者の味方、では言っていることに「求心力」が欠けちゃいますよ。