[映画]手紙

11月3日に公開される沢尻エリカ出演の話題作「手紙」を見ることが出来ましたのでご報告。


あらすじを簡単に
弟を大学に行かせるため、誤って強盗殺人の罪を侵してしまう兄・剛志(玉山鉄二)。
「殺人者の弟」というレッテルを一生背負わねばならない宿命にさらされる直貴(山田孝之)。
直貴を見つめ、支え続ける女性・由美子(沢尻エリカ)。
希望を失いつつも生きて行かねばならない人間の悲しさを描いた感動のストーリー。


「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞した原作の東野圭吾が、「ぼくの作品の中で、これだけは映像化されないと思っていた」と語ったそうです。


殺人者の弟は、実際には犯罪者でも何でもないのだけれど、社会的には「準」殺人者として扱われます。
このことは、「酒鬼薔薇聖斗」の父親が勤めていた会社の支店がある町ほとんどで、「酒鬼薔薇の家族がこっそり引っ越してきたそうだ」という噂が、都市伝説のように流れたことでも顕著です。
「クマエリ」の両親が経営する居酒屋も閉鎖して、細々と続けている料理の納入にすらけちが付くのですから(zakzak参照)。


犯罪被害者の立場に対する見直しが徐々にですが進められている現在、犯罪者の親族の置かれた立場についても考えを深めなければならないのでしょう。
その意味では、一石を投じる映画といえるでしょうし、意義深い映画でした。
直貴と由美子の恋愛がハッピーエンドとなったところでエンディングとしなかったことも評価できます。


ただ、純粋に映画として考えたときの出来には、ちょっと物足りなさを感じました。


山田孝之は20歳から30歳くらい(結婚して子どもができる)までを演じるのですが、まったく成長を感じませんでした。
子どもが差別されたことを隠した妻に対して、父親として怒鳴りつけるシーンに、違和感を覚えまくりです。
さっきまでの少年時代とかわらんやん。


さらに沢尻エリカ
あいかわらず画面映えのするキレイさですが、演じた役がいい人過ぎます。
途中でほかに恋人まで作る直貴を、なぜ支え続けるのか、理由がまったく分かりません。


恋愛が終わった後の人生シーンも、恋愛劇が見たい人には蛇足でしょうし。


それでも前半直貴が「自分のために」罪を犯した兄を、何とか受け入れようと努力すること、それでも社会に受け入れられない自分に絶望し、兄を拒絶しようとすること、どこかに救いを求め、被害者宅を訪れること。
一人の人間としての心の動きが痛いくらいに伝わってきました。


被害者の息子・吹越満の演技は、出演時間は短いものの胸にぐっときます。


映画としての評価と話題作としての評価、ミックスしての評価となるとは思いますが、
標準金額1500円として


¥1000


ですかね。


DVD化を待ってみてもいいと思います。