[新聞]新聞さんもお好きねえ

日経新聞が「昭和天皇A級戦犯靖国合祀に不快感」と記した元宮内庁長官の日記、手記の内容を紙面で公表したのは7月20日でした。
「メモ」の存在を公表したわけで、実際に昭和天皇がそのような考えを持っていたかはこれからの研究を待たねばならないのでしょうが、一級の歴史資料だなあというのが率直な感想でした。


ただ、その後の報道合戦には違和感を覚えました。
ちょうど8月15日を間近に控えていたため、小泉前首相の参拝も相まって、参拝是非を問う論議に花が咲きました。
ただこの昭和天皇の言葉を記したメモを論拠に参拝中止を呼び掛けるのはいただけません。
参拝する人々は、国のために犠牲となった人に対する哀悼の念を表すため、敗戦記念日靖国を訪れるのであり、昭和天皇がどう考えようが慮外のことではないでしょうか。


ただ、逆に言えば、メモですら大きな影響を与えてしまう、日本における天皇という存在の大きさを示す現象でもあるのでしょう。


で、その報道が、このたびめでたく「新聞協会賞」を受賞されました。
しかも同協会発行の「新聞研究」を開けば、受賞4報道のトップに位置されているのです。


受賞理由を抜粋。
地道な取材の成果として第1級の資料を発掘したこの特報は、(中略)政治、社会、外交など各方面への大きな影響を与えた極めて衝撃的なスクープであり、新聞の力を再認識させる…(後略)。


え、受賞理由は
歴史資料として
ではなく、
現代への影響の大きさ
なんですか???


天皇という存在を「日本の象徴」と教えられ、その通りに考えてきたぼくにとって、この受賞理由はあっけにとられました。
新聞が天皇という存在に、ぼくが考える以上の意味を見ている、ということでしょ?


いや、報道自体の価値を否定するものではないんですよ、エジプトでツタンカーメンを発掘するのと同じように、地道な取材が実を結んだと言うことですから、褒められて当然です。


でもね、
新聞さんも、結局「昔の人」なんですね
と思っちゃいました。


やっぱりね