[時事]テポドンがやってくる日

北朝鮮で地下核実験が実施されました。
もちろん示威行為なんですが、北朝鮮が実験にいたるまでの理由と、実験できた理由の2つを考えてみることで、日本の立ち位置を再確認したいと思います。


昔からどこの国でもそうですが、「内憂」を逸らすためには外に敵を作るのが最も早いわけです。
ですから、外に敵を求めるようになった北朝鮮は、国の状態がよっぽど悪いんだろうと想定できます。


実際彼の国で、どれくらいの支配者数によってどれくらいの人民が餓えているのか、ぼくには全容をつかむことが出来ません。
テレビや新聞の報道を見ても、その画面をリアルに受け止められないからです。
作りがあるんじゃないか、と感じてしまいます。
嘘臭いくらいひどい状況、それがホントウの姿であるのかもしれませんが。


北朝鮮が外向的に頼れる相手は、ソ連がロシアになり、改革によって共産主義を放棄した今、同じ共産圏である中国と、太陽政策をとってくれている韓国以外にないのが現状でしょう。
その2カ国に頼るのでは限界があるくらいひどい国情になったのであれば、2国以外から支援を受けるため、なんらかの手を打つ必要があります。


一つは物乞いのようにすがること。
もう一つが取引をすること。


物質などの取引(貿易)材料がない北朝鮮が、取引材料として選んだのが「脅威」。
ほしいのは脅威払拭の対価としての支援です。


一方日本の置かれた立場です。
まず北朝鮮の周辺に、敵対国が他にないという地理的条件。
過去、日本帝国に支配されていたという歴史的条件。
日本が戦後復興に敗戦国で最も成功したという経済的条件。
以上3点から、北朝鮮が最も敵対国と見なしやすいのが日本です。


日本の安全保障の状態ですが、日本は独自で自衛隊以外の軍隊を持っていません。
自衛隊は建前として他国への派兵ができません。
さらに安全を保証してくれるはずの米国は、いまだ自国の兵士をイラクに派兵していますし、戦況を泥沼化させてしまった反省から、これ以上戦端を広げることを望んでいないはずです。


ということで、北朝鮮がもし日本に核以外のミサイルを撃ち込んだとき、非難こそあれ、北朝鮮に対して戦争を仕掛けてくる国は一つもないわけです。
事実、先だって日本海テポドンを打ち込んだ時に、反応してくれた国がありましたか?


そこで「脅威」が売れるわけです。
米国も中国も、ロシアも韓国も、北朝鮮が自暴自棄になって暴れることをよしとしません。
日本は自国の安全保障を金で買うだろうと、甘く見られているわけです。


ここで一つ言っておきたいのは、だから日本は軍隊を持つべきだ、と単純に考えて欲しくないということです。
むしろ自衛隊などなければ、世界における平和の象徴的国家というスタンスをとることができ、世界各国から敬愛と守護(あるいは庇護)を受けることが出来るでしょう(「平和の守護神になりたい」という打算込みかもしれませんが、それで十分でしょう?)。
なまじっか軍隊があるがために、攻撃されても自衛できるだろうと、各国から突き放されるわけです。


北朝鮮は、スレスレのラインで外交戦争をしかけています。
それに対して何ら対応が出来ていない、見ているしかいない日本の外務省は、なんと力がないことでしょう。
本来なら、周辺各国の合意を得て、核実験をするなどと言わせない程度の包囲網を作っておくべきなのです。
何のために中国に多額のODAを出していたのでしょう。
ただの人道的支援なら「借金830兆円の日本こそ支援しろ」と声を大にして叫びたい。


とにかく一つ言えることは、日本に対してミサイルを落としたくらいでは、どの国も北朝鮮に対して軍隊を派遣してなどくれない、ということです。
北朝鮮が「戦争できる国」は、今や日本しかないんですよ。


ぼくは日本が戦争を仕掛けることは絶対にあってはならないと考える人間なので、もう少しましな外交戦略を展開すべきだと思います。


いまごろ中国や韓国を訪れるのでは遅いんじゃないですか、自民党さん