[新聞]下野新聞が大変なことになってますが、何か?

11月8日、全下野新聞労組が、自身の会社を地裁に訴えました。
印刷部門の別会社化と従業員の転籍の差し止めを求める仮処分の申請です。


下野新聞の計画は、
1 印刷部門だけを別会社化
2 転籍社員と労働条件を結び直し(賃金は約4分の1カットだそうです)
3 さらに別会社がプロパーの従業員(別会社の社員として採用する従業員)を雇用。
  賃金は当然別会社の体系で計算される
4 転籍社員が定年などで退職、プロパーと入れ替わる
5 相当額の賃金を削減可能
というものでしょう。


この動きは、新聞業界を飲み込もうとしている、大きな流れがかなり大きな影響を与えています。
いわく、新聞業界は将来的にネット産業に取って代わられる可能性がある。
だから体力がまだある今のうちに、賃金カットを含める大規模なリストラを進め、来るべき情報産業の生き残り戦争に備えなければならない。
というものです。


会社側の言い分も理解できます。
10年後の新聞業界が今と同規模で維持できると考えている人間は、新聞社内にも一般市民にもいませんもの。


また労組の反対も分かります。
出向ならまだしも、転籍では新聞社員としての身分は保証されません。
さらに新聞社員であれば、高低はともかく、記者になれる可能性だって、事業局でイベント担当になる可能性だってあります。
転籍は片道切符ですからね。


仮処分は、リストラ計画の白紙撤回を求めるもので、既に初回の弁論は終わっています。
年内に2回審理され、年明けにも地裁判断が下されます。
新聞業界は労使ともにこの判断に注目しているでしょう。


ただし、熱いのは新聞業界だけ。
業界はそれに気がついているのでしょうか?
理由は簡単、一言で言うと


「新聞社員は給料いくらもらってんのか言えるのか、この野郎!!」


ってことです。
確かに給料25%カットは大事でしょう、本人にとっては。
でもね、カットされた賃金以下で働いている人は、この世の中に5万といるわけです。
業界自体があやういのに、労使ともに自分の都合で動いている(ように見えても仕方がない)新聞業界に、一般市民はまったく反応できません。


労組の団結結構、会社の強権結構。
賃金が平均賃金を下回ってからもう一度いらっしゃい。
新聞業界は社会を映し出す鏡、であるのなら、温度差を感じてください。