[小説]流行作家へのアプローチ

「鴨川ホルモ−」に先立ち、「池袋ウエストゲートパーク(IWGP)7」と「重力ピエロ」を読みました。


2冊には共通点があると思います。
・いずれも当代きっての人気作家の作品
・今の用語で分類するなら、不本意ながらミステリーに属する(だろう)
・文章の読みやすさ、というか、文章に引き込む力が半端なく強い


最後のは、20年ほど前に日本を席巻した赤川次郎以来、売れる作品の最低条件だと思います。
石田衣良伊坂幸太郎東野圭吾と、いずれも赤川作品より深く、複雑であるというのがぼくの感想ですが。



そんなわけで「IWGP」と「重力」ともに楽しめたのですが、読了感の違いが気になりました。
ミステリーは「謎の内容」と「謎解き(謎への立ち向かい方)」が物語の肝となります。
いずれも作者はミステリーを書こうとして作品を作っていないでしょうから、この2つを深く追及するものではありませんが、


「IWGP」には満足感


「重力」には残念さ


が残るのです。



「IWGP」は少年以上青年未満の人生でもっともおいしい時期をどう表現するかに心を砕いた物語です。
そしてそれは成功しています、確実に。


「重力」は実は映画を小説で描こうとしているのではないかと思います。
確か本人も映画好きを公言していたと記憶しています。
90分なり120分を数百ページで物語ると、2時間以上かけて読んだぼくにとって物足りないのでしょう。


映画「アヒルと鴨のコインロッカー」はとても面白い作品だったことも事実です。



ということできょうの結論。


映画「ゴールデンスランバー」に期待します。
まだ見られてないんですよ、残念ながら。