[小説]栗山千明の美しさは、大木凡人の髪型では隠れません

作中における「ギミック」は、読者や視聴者に意図をまっすぐに受け止められないための、つまり、自分の心をのぞかれないための作者の「照れ隠し」だと思います。
そういう意味で「鴨川ホルモ−」は、照れ隠しのための大がかりな仕掛け作りが楽しいドラマでした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B4%A8%E5%B7%9D%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%BC



あらすじを簡単に。
といっても、ちょっと内容に触れるので、読んでない方は飛ばしてください。


二浪して京都大に入学した安倍は、葵祭のエキストラのアルバイトの帰りに上級生・菅原から「京大青竜会」というサークルの勧誘を受ける。
活動内容も不明なそのサークルの新歓コンパで、理想の鼻を持つ同級生・早良京子に一目惚れ。
足繁く例会に通うようになるのだが、次第に活動が明らかに。
なんとオニという式神を操り、龍谷京産立命館の3大学と対抗戦を行うというのだ。



流行の本を斜に構えて読む嫌いがあるぼくですが、この本は買って良かった、マジで。
大学に入学したてというのは、恥ずかしい話、ぼくにとって本当の青春の始まりだったわけで、小さな恋心に一喜一憂したものです。
ある種の「童貞臭さ」を恥ずかしげもなく全面的に書き連ねたこの本は、34になったぼくにとってあのころを思い出させるギミックでもありました。


青竜会内で争うことになる終盤はもう一気読み。
サークルのもう一人の女性・楠木ふみとの雨の中のやり取りは、はっきりいって出来過ぎ。
ただし、あのころのぼくが体験したかった願望を見事に物語にしてくれています。


大学生活を野郎どもと悶々と過ごした、すべてのもてないヤローは必読です。



金額で評価するなら(文庫本でしたので、標準¥500として)



¥1800


です。



買いです、お勧めです。