キサラギ

三谷幸喜原作の映画「12人の優しい日本人」が大好きです。
何がって、もつれたひもをほぐして、でもバラバラにならず一つになっていく様を、傍目で眺めているのが。


あらすじを簡単に
自殺したアイドル「如月ミキ」の一周忌に、ファンサイトの運営者「家元」の呼びかけで5人の男達が集まる。
年も見た目もバラバラ、ただファンだという一点でつながる5人。
その一人、「オダ・ユージ」が突然語り始めた。
「ミキは自殺じゃない、殺されたんだ」


演劇などでおなじみ、ワンシチュエーションストーリー。
ほぼシーンの切り替えなしで見せるには、当然監督のカメラワークもさることながら、出演者の技量が問われます。
哀れな男を演じるのがやたらと様になっていた小栗旬
いつもと打って変わってシリアス、でも違和感のないユースケ・サンタマリア
にぎやかしには最適の小出恵介
何でもできるので、いるだけでいい香川照之
間宮兄弟」でもなんだかな、と思いましたが、唯一塚地武雅にパンチがないような気がしました。


この人物の描き分けがはまって、見た目以上のダイナミズムに。
うまくキャスティングしたな、という印象です。


ストーリーも一枚一枚ベールをはがしていくタイプのミステリーで、前進と後退を繰り返すオーソドックスな手法ながら最後まで飽きさせません。
前振りと結末がうまくリンクしていて「ほぉっ」と思わされます。
しかもアイドルとオタク的ファンというツボを外さずに書かれた、最後まで筋の通った脚本。
アイドルヲタをモチーフにしたネタを持つドラドラの塚地が、持ちネタから入る、ってのも好感触です。


途中、「それくらい分かれよ」とつっこむシーンもありましたが、ストーリー大好きなぼくをして「満足」な作品でした。


如月ミキは出す必要がなかったのでは? 惣一郎さんも最後まで顔が分かりませんでしたよ。
それともエンドロールに「かわいくない」女優を出すことで、売れない悲哀を強調したかったのでしょうか?


金額で評価すると(標準¥1500として)


¥2100


です。


映画館で見る必要あるのかよ? との問いかけにはうまい返事がありません。
でもどこかでは必見、と思います。


公式HP
http://www.kisaragi-movie.com/