明けない夜明け 〜麻原彰晃死刑〜

この結末を誰が喜ぶのか。
麻原死刑は既定の事実だが、過程は想像していたものと大きく違った。
結局彼が死ぬことですべての真相(そんなものがあるのなら、だが)は闇の中だ。
被告は罪の意識を持たないまま死んでいく。
そんな判決を、被害者たちは望んでいたのだろうか?


とても個人的な見解だが、とても国民向けの判決が下されたような気がしてならない。
麻原の精神状態にしたって、一連の報道をリードしてきた有田芳生さんすら途中から疑問を抱くほど、不確かなものだったと聞く。
演技、と片付けるのは簡単だが、制度として確立している専門医の判断をないがしろにし、公平さを欠いたとすら見える。


この判決によって、被害者のうち何人が「これで新しいスタートを切れる」と思うのだろうか。
それには事件が風化しすぎている。
これが地下鉄サリン1年後とかならまた違った意味合いがあるかもしれない。
結局、裁判を終わらせる為の判断なのだろう。
これが日本の司法界の現実だ。


一連のオウム事件は許されざる問題だ。
だからこそもっと深くぼくらは知る権利があったと思う。
何ら新しいものを産まないまま、この大きな事件が封印されていいんだろうか?
ただ時間だけがたった。


もう一度言いたい。
こんな結末、誰も望んではいない。