[時事]「愛国心」って何だ??

13日に与党の教育基本法改正案が示されました。
ポイントはもちろん「愛国心」です。


安倍晋三がなんだかニュースで難しい顔をしてこの話題をしゃべっていました。
余談ですが、かつてジェンダーフリーな人が、「安倍晋三はあまりにも古典的な『家』を重視しすぎていて、どうにも好きになれない」と言っていましたが、こと「保守」という言葉で表現できよう自民党の考え方も、また安倍晋三寄りなのかもしれません。


で、愛国心って何?ってことです。
「人種のるつぼ」と呼ばれた米国で、愛国心がことあるごとに強調されるのは、ある意味仕方がないことだと思います。
日本や欧州諸国に比べ、国の歴史が浅く、(おおむね)一続きの国土に住んでいるということのほか、「アングロサクソン人」ではなく、「米国人」を証明できる物に乏しいからです。
人間は目に見える物より、見えない物の方を尊ぶ習性がありますから、愛国心で意識を縛ろうとしたのはうまいと思うし、またそれ以外に国家としてくくる手だてがなかったのかもしれません。


ただ、日本人は、本州から九州まで、1000年以上も同じ歴史を持っています。
同じ族長をトップに持ち、時代により差はあれど、ある程度同じ意志の下で生活してきました。
ぼくらにあえて「愛国心」を持つよう強制することは、個人的に無茶だと思います。


そもそも長い歴史を経て醸成するべきものを、明文化できるという考えは乱暴です。
他国とは違う、日本の愛国心って何だと考えながら、分からないままお仕着せにフォーマットだけ作ったという強迫めいたものを感じます。


改正案にこんな言葉を盛り込まなければならないということは、よっぽど愛国心のない状況だ、と誰かが思ったわけでしょう。
もちろん国民が愛国心を持っていた方が都合がいい方々でしょうが。
でも、例えばこの国に、明確に愛国心という言葉の縛りがあったのは明治から昭和20年までのほんの100年足らずで、ないままに国を運営してきた期間の方が長いわけです。
大和政権が、意志の届く範囲を広げる上で、縛りが少ない方がより多くの共感を集めるだろうと考えたのかもしれません。


日本という国の形が定まったというより、地球儀の上にあるほぼすべての国の形が定まった現在、国際社会の中で他国とのつき合いを考えていく必要に迫られ、さらに指導的な立場に立ちたいと考えるようになった現在、翻って自分のコンセプトをはっきりさせておきたい、という考え方は決して間違っていません。
しかし、30歳以下限定で考えて、話題にもなっていないような言葉を引っ張り出して、何かに使おうという根性、さらになぜ今その話題に触れる必要があるのか、それがあることで誰にどんなメリットが生じるのか、全然説明しないまま法律を改正しようとする、自民党の身勝手さにはほとほと嫌気が差します。


日本人は多くの場合、「自覚」が「自立」ではなく「排他」を意味します。
垣根がなければ、より他人を理解できることに気づかねばなりません。


あと、ぼくは日本人だし、生まれた土地や住んでいる土地が好きだし、その周囲にいる人が好きです。
確かに若い人たちのテレビインタビュー(これも「テレビが推察する傾向」を裏付けしに、コメント取りに行くだけなんで、信用なりませんが)ではあんまり日本好きじゃない、ってコメントが多く見られます。
でもね、与党の言う「愛国心」が何を指すのか知りませんが、そんなものを持たずとも、ぼくはずっと日本で暮らしていきたいと思っています。
その気持ち以上に何が必要なのでしょうか?


最後に、こんな改正案が通ることで、ぼくの娘と息子が、「愛国心」に縛られた教育を受けなければならなくなるかと思うと腹が立ってしかたありません。
もっと国政に興味持ちましょうよ、みなさん。
もちろんぼくも含めて。