[時事]WBCとイチロー、アメリカ、韓国

世界カレイドスコープ以来、福島弓子ファンのぼくにとって、イチローは長年の天敵なわけですが、一番好きな野球選手もまたイチローなわけです。


WBC決勝のキューバ戦は、久しぶりに、いや初めて野球の試合を面白いと思いながら見ることができました。
最初から最後まで見たのも、多分初めてですね。


決勝に進むまでのドラマチックな展開が盛り上がりを呼んだのは間違いないことでしょう。
ただ、宣伝として最も高い効果を上げたのがイチロー発言だと思われます。
イチローが嫌われる理由のひとつに、あの持って回ったコメントの仕方というものがあるでしょう。
もちろんイチロー自身、自分のコメントの影響の大きさを考えてのパフォーマンスでしょうが、コメント自体も受け取る側に考えさせる突き放した言い方が見られ、不興を買っていたのは間違いありません。


かつてマイケル・ジョーダンは、「自分の発言が大きな影響を与えるから」という理由で、大統領選挙に対するコメントを拒否しました。
国をも動かしてしまうのが「超」一流の選手なわけです。
これまで嫌われていたコメントによって、日本国民が心を揺さぶられるようになったということであるのなら、イチローもその仲間入りをしたことになります。
少なくとも日本においては。


さて、ベースボールのW杯としてアメリカ主導で実施された大会でしたが、最もババを引いたのは言うまでもなくホスト国のアメリカでしょう。
決勝トーナメント1回戦は、ぼくの考え方なら当然各組1位と2位のたすきがけでの対戦だと思っていましたが、まさか日本が韓国と戦うことになるとは思っても見ませんでした。
アメリカがドミニカやキューバと戦うよりも、日本か韓国と戦うほうが楽、という考え方なのでしょうが、当人が決勝に進めなかったのなら、いわゆる「恥の上塗り」状態です。


かつてサッカーW杯で、ホスト国が決勝トーナメントに勝ち残れなかったことは一度もないと聞いたことがあります。
あの日本でさえ、日韓大会ではグループリーグを勝ち抜いています。
これは、ホスト国国民が盛り上がらないと大会自体が低調になってしまうためですが、そういう意味では、アメリカにとって「最悪」の結果でしょう。
しかも自力で決勝にいけるチャンスを持ちながらの敗戦は、いかに本気ではなかったとはいえ、糾弾されても仕方ありません。


韓国もまた、アメリカの思惑の餌食になった国です。
イチローはじめ、雪辱に燃えるモチベーションの高い日本と、懲役免除が決定した韓国。
技術的に大きな違いがないとしたら、意識の高さで日本が勝つのは当然の帰結といえます。
これは韓国が悪いのではなく、大会のレギュレーション自体に問題があるのは明白です。


これでアメリカには2つの選択肢が残りました。
ひとつは次回大会に本気で集めた精鋭部隊を送り込み、汚名を返上するか。
もうひとつは大会自体をやめてしまうかです。


大会が必要なのは、ベースボール人気を回復させたい日本などの国々で、十分に採算の取れているMLBが本腰を入れるいわれはないわけです。


大人気ないのはアメリカの専売特許。
こんな言われ方がむかつくのであれば、次の大会で日本を完膚なきまでにたたきつぶす、そんな選手団を送り込んでほしいものです。