[小説]「ダイスをころがせ!」 真保裕一著

選挙に関心がないのは日本が平和だから、という意見があります。
でも国が背負っている借金は600兆円超。
実に国民一人当たり約150万円です。
ということは、うちには600万円弱の借金があるということになります。
完全に支払い能力を超えているのですが…


そういうことをちょっと気付かせてくれるのが本書「ダイスを−」です。
著者は「ホワイトアウト」など、活劇大作を書く人、という印象を持っていました。
たしかに舞台は選挙戦の上、と壮大なスケールはないかもしれませんが、心躍る活劇であることは確実です。


あらすじを簡単に
商社をリストラ同然に辞めた34歳の駒井。
衆院選に無所属で立候補する、高校の同級生で元新聞記者の天知に誘われ、第一秘書として選挙戦に立ち向かう。
会社を辞める原因となった土地売買問題、高校時代の恋の残り火など、さまざまに展開する伏線に翻弄されつつも、ようやく大人へと成長する群像劇。


いや面白い。
選挙についてこれほど無知だったということも教えられました(なぜ2世議員が多いかと言うことも)。
何より、無所属で選挙に出るような人間の、それを支える人間たちの「弱さ」と「強さ」がにじみ出ています。
確実に息をしている人間たちがそこにいました。
こんなに次のページが待ち遠しかったのは、ジャンルは違いますがアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」以来かもしれません。


文庫で上下巻ですので金額を評価すると(標準価格を500円×2の1000円として)


¥1800


です。
選挙前に再読したいと思います。