[小説]「博士の愛した数式」 小川洋子著

寺尾聡に吉岡秀隆、浅岡ルリ子、そして何よりわが「心の友」深津絵里出演、小泉尭史監督の同名タイトル映画原作を、ようやく読みました。
もちろん文庫化されたからです。


あらすじを簡単に
といっても、映画宣伝などで誰もが少しばかりは知っているのでしょうが。
博士は事故で、記憶が80分しか持たないのです。
そこに9人目の家政婦としてやってきたヒロイン、その息子で阪神を愛する通称「ルート」と3人の、愛すべき心の交流を描いた作品です。


佳作とはこういう作品のことを言うのでしょう。
映画「またの日の知華」(原一男監督)で製作・脚本を担当した小林佐智子さんが、「ストーリーは単純にしておいて、伏線を張れば張るほど面白くなる」といっていましたが、まさにそんな感じでした。
まずは設定が抜群ですね。
数学博士、記憶80分、家政婦、ルート、阪神、江夏、友愛数完全数
設定が出来た時点で作家の勝ちです。
もし小川洋子さんが芥川賞をまだ受賞していなかったとしても、この作品で獲れたのではないでしょうか。


ただ、逆に初々しさと言うか、スルっと読めちゃいましたね。
悪くいえばコクがないと言うか。
若い作家の作品を読んだ気になりました。


お値段評価ですが(文庫の標準を500円として)


\400

ですかね。
空き時間にでもどうぞ