[小説]「Q.E.D.」 高田崇史著

さて、きょうは小説の紹介をしましょう。
その前に、小説的好みを言いますと、村上春樹景山民夫森博嗣です。
ジャケ買いではないですが、本屋で適当に手に取るクセがあります。


一昔前は純文学もいけましたが、最近推理小説オンリーになっています。
基本的に最後に「あっ」と言いたいので、あまり推理しない読者です。


最近読んだ分厚い推理小説「Q.E.D.」ですが、1冊目「百人一首の呪」でメフィスト賞を受賞しているそうです。


ストーリーを簡単に。
百人一首好きの大金持ちが自身の屋敷で、手に百人一首の1枚を握り締め殺されていた。
容疑者はその日、屋敷に泊まっていた息子たちだが、犯人が分からず時間が経過するうちに2人目の犠牲者が出る。


文庫版を手にとったのですが、いや分厚い分厚い。
いかほど張り巡らされた複線が楽しめるのかと思いきや、物語が2層構成になっているためのようで、本線より明らかに複線に力が入ってます。
殺人事件そっちのけって感じです。
それはそれで、すごく楽しめるんですよ。
なんだか文学史上に残るような名解釈を加えてくれるのです。


でもね、本線があんまり楽しめません。
ストーリーに「そして誰もいなくなった」のような推進力もなければ、「十角館の殺人」のやられた感もありませんでした。


あと、主人公の本業薬剤師の博覧強記ぶり、すなわち作者のそれが若干鼻につきます。
2冊目の「六歌仙の暗号」では、「万能人間ではないんだ」という人間くささを書いている部分があるんですが、結局作者は「パーフェクト探偵」を書きたいのかそうでないのか、どっちなんだってことで、いらいらしてしまいました。


鮮やかな複線の割に疑問の残る本線で、これぞ本末転倒だ、と思いました。
男女のペアというキャラクターだったら、ぼくは森博嗣が生んだ犀川、モエペアのが断然好きですね。


ということで、文庫本ですので500円を基準評価額とすると・・・

 \300

ですね。
推理小説を読もうと思っている人にはおすすめできません。