[映画]ハチミツとクローバー

つうか、マンガ原作の映画、ドラマって最近ものすごい数ですよね。
個人的に「日本のマンガは文学である」、だから電車の中でオヤジが読んでいても何も不思議はないのだよ、分かったかね外国の論評家ども、と思っているので、当然のことです。


15年くらい昔にあったドラマ「八神君の家庭の事情」も原作はマンガだったのですが、高校生八神君と、どう見ても八神君より年下にしか見えない母、そして父親、八神君の担任教師、八神君を慕う五十里さん(女子高生)のエディプスコンプレックスを基調とした多角形関係を描いたものでした。
原作はたいそう面白かったのですが、ドラマはもう勘弁してくれ、というくらいオモンなかったし、大ゴケしましたしね。
だいたい若き日の国分太一演じる八神君より若く見えなければならないはずの母親が夏木マリですもんね。
キャストだけを聞いたときは、五十里さんを演じた持田真樹が母親をやるもんだと思ってました。


で、何が言いたいかというと、マンガをベースに実写ドラマを作ろうと思えば、多かれ少なかれ変更を加えなければならないと言うことです。
特に映画は2時間前後にまとめなければなりません。
そうすると執れる手段は2つで、大幅な省略か、設定だけを借りて大幅に脚本を書き直すか。
どっちも成功、失敗している事例はあまたあるわけで、どちらがいいということでもないのでしょう。
ただし、原作を読んでいる人にしてみれば当然前者で、うまくまとめてくれよ、というのが本音です。
八神君は後者、しかも質悪の後者でした。


ところが映画ハチクロはどっちともつかない内容でした。
設定、エピソードを原作に借りながら、オリジナルも盛り込んだものでした。


で、削った部分が芸大生のエキセントリックな部分で、盛り込んだのが恋愛エピソード。
そうするとどうなったかというと、いわゆる「普通の青春群像劇」になってしまったのです。


原作を読んだのも、映画を見たいからでした。
この作品はこれでありか、とも思いますが、こちとら勉強していっているわけです。
見たいのはエキセントリックな人間たちによる恋愛ドラマです。
劇中「天才、天才」と言っていても、それを裏付けるものがないとただの言葉になってしまいます。
正直、劇中出てきたはぐと森田の作品がそれほどすごいと思えなかったというのもあります。
う〜ん、これ「ハチクロ」である必要はあったのかな?
原作の人気だけが欲しかったのかな、と思いました。


ま、青春群像劇が見たい人には「普通に良かったんじゃん」と言いますが、ハチクロ見たい人にはお勧めできません。


10年ほど前(これもえらい昔の話ですが)、バイトの先輩たちと映画「パラサイトイブ」を見終わったとき、ノリノリだった先輩だけがつまらなさそうにしていて、ぼくと後輩2人は「結構いけた」と話していました。
もちろん先輩は原作を読んでいました。
そんなことを思い出しました。


評価ですが、標準を1500円とすると、


¥800


ですかね。
DVDで十分かもしれません。