[映画]転々
しかし田舎の町は、公開と同時に単館系が見られないところがネックです。
名画座みたいにニコイチ、サンコイチにしてくれるわけじゃなし。
あらすじを簡単に
大学8年生の竹村文哉がギャンブルでこさえた借金は84万円。
返済期日が残りわずか3日に迫っていた。
期日前日、借金取りの福原に
「おれと一緒に霞ケ関まで散歩すれば100万円やる。
到着期限はなし」
と提案される。
ほかに金を稼ぐあてもない文哉はそれをのみ、男2人の東京周遊が始まった。
久しぶりに映画を見た、という感想です。
101分の長さで過不足なし。
世の中に数多はびこる「長編大作=続編続々」物の製作者たちに見せてやりたい。
前作「図鑑に載ってない虫」のぐだぐだぶりとは打って変わり、テンポのいい運び。
オダギリジョー、三浦友和の演技に加える独特の「間」が気持ち良かったです。
特にラストシーンのオダギリジョーは抜群。
ぼく的映画史に残るシーンになりました。
文哉の生い立ちあたりが若干説明くさくもありましたが、それがあるからこそ小泉今日子との疑似家族の話があるわけで、伏線と本線をつなげる構成力に脱帽です。
カレーの話とかね。
さらに、決して長く続かないモノを長く続けないその「達観」、あるいはいさぎよさが、逆に福原の未練を感じさせてくれます。
男2人がただ散歩するという「あり得ない」ストーリーには、ぼくが実社会で表現できず押さえ込まれている感情が投影されているように錯覚しました。
「こりゃ必見だ」と感じました。
金額で評価すると(標準 ¥1500)
¥2900
ですか。
オダギリ、三浦、西田、渡辺、阿部、堤あたりをつかっときゃなんとかなるんじゃん、みたいなくそ映画とは、一線を画した作品です。